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川井信良さん
この数十年の印刷レベルの向上はめざましく、昭和30年年代には雑誌でもカラー印刷のページは巻頭の数ページだったのが、今では身の回りに洗練されたデザインの印刷があふれていることに気づきます。
印刷会社創業以来、一貫して「読みやすさ、美しさ」を追求してきた株式会社文伸の川井信良専務にお話を伺いました。
印刷技術の最高のものを求め続ける
三鷹で印刷を中心に出版・製本まで一貫して行う(株)文伸の前身「(株)文伸印刷所」は、昭和37年に渋谷区千駄ヶ谷から三鷹へ移り、謄写、タイプ印刷を主体とする業務を、川井専務の兄(現社長)がスタートしました。
印刷物を仕上げるまでには、打ち合わせ、原稿の受け渡し・校正の繰り返しなど依頼者と印刷会社は頻繁なやり取りを必要とし、FAXやインターネットのない時代、印刷会社の社員は出版社に1日に2度3度と足繁く通いました。そのため交通の便のよい所、例えば市ヶ谷や小石川あたりに印刷会社は軒を並べています。
「三鷹という離れた場所にあるマイナス面を質の高さで補わないと、仕事を出してもらえなかったから、一生懸命でした。」と川井専務は話します。理数系の書物の化学記号や数式は記号の頻出、行間や文字の空き具合などを整えて読みやすく表記するために大変苦労したそうです。
努力を積み重ねて培った社員の職人技は、印刷機械が革新される度に通用しなくなり、新しい機械でまた腕を磨くことになります。そうした苦労の繰り返しが現在では高度文字組版を得意とする会社の伝統となっています。
会社のホームページの経営理念に「文伸は、資金も信用も実績も地縁もない小さな店舗から出発しました。頼れるものは、少しの技術と、強い向上心と、信じあえる家族、数人の仲間だけでした。」と書かれています。最新式の高価な機械を備えることが出来ず、中古の機械でレベル以上の仕事をしたときには「この機械でここまで出来た!」という達成感があったそうです。
納得できる本作りをして、残してゆく
デジタルの時代になり印刷・製本の工程から人の手間は省かれても、読者の手に印刷物が渡るまでには、企画段階から幾つもの工程で精通した人の目と手、思いが働いて仕上がりとなります。
(株)文伸の伝統、「読みやすく美しく」は、現在は新聞、会報、雑誌、書籍など出版、製本部門でも発揮されています。中でも自費出版本は著者の希望の仕上がりイメージを実現するために丁寧な本作りをしています。装丁はパターン化されたものではなく、内容に即したオリジナルなデザインの本に仕上げられています。
今年の夏に読売新聞のヨリモの「『夢応援』キャンペーン」に当選した主婦が、応援資金100万円を活用して、長男と二男の子育て記録を自費出版するのにぶんしん出版を希望して、イラストや文章が1000ページを超えるボリュームのある本が完成しました。自費出版とは別に「この地域にこんな本を作りたい」という思いで『戦争の記憶を武蔵野にたずねて』が発刊され発売中です。また、現在は井の頭公園の全てをを紹介するフルカラーの本の制作が進んでいます。
撮影&取材 八木・鈴木
株式会社文信
住所 三鷹市上連雀1-12-17
電話 0422-60-2211
URL http://www.bun-shin.co.jp/
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